Concept

農作物を植物として健康体に育てる

私が考える美味しい農作物の条件は、その作物がその作物ならではの個性をしっかりと持っていることです。『嫌な味は無いがその作物が本来持っている風味やクセはある』というのが、美味しい料理を作っていただくための素材としての農作物の潜在能力です。そのような農作物は、農作物を植物として健康体に育てることで出来上がると思い、それを目指しながら農園を管理しています。

多様性と持続性

あらゆる物にとって『良い状態』とは、『多様性を内包した状態で整えられていること』と私は考えています。農作物にとっての多様性を内包した状態というのは、植物としての作物の身体の中に様々な栄養素(特にミネラル分)が豊富に含まれていて、植物としての身体が充実していることです。そのような植物を育てるために、植物が根を張る土を多様性に富んだ状態に整えます(植物は基本的に根から土の中にある栄養分を吸って成長するため)。


農作物を育てる時に、一回の栽培で最大の収穫を得る方法と、何年もずっと一定の収穫を得続ける方法とではやり方が違います。短期間に高い収益を上げる方法は、決算期間を1年や有限な期間に区切れば効率的です。でも仮に(これは極論ですが)決算期間を無限と考えると、ずっと続けられない方法は非効率的になります。ですから私は、できる限り農業が持続的であるように、農作物を育てて収穫した後に土が持っている作物を育てる能力を著しく奪わないように、できれば来年は今年よりも土が良くなっているように、畑に入れる物を選び、育てる作物の種類や順番を考えながら農園を管理しています。

農家

当園は『農家』です。家が有り、周りに畑が有り、その敷地の中で家族のみで仕事をしながら農作物を育てております。農業も含めてあらゆる産業が大規模化していく時代の中にあって非常に古い形の小さな経営体ですが、だからこそやりたいことに挑戦でき、すべての農作物を私自身の手で管理することができ、自分が食べたいと思う物しか作らないという意思を貫く事ができます。可能な限りこの形を続けていきたいと思っております。